大学院てどんな所? 社会人から大学に入るには? どうして大学院なの?

森田 千恵の大学院レポート 連載 第1回
私は、この4月から、東京学芸大学の大学院修士課程で、社会学を専攻しています。専門とする領域は家族社会学、ジェンダー。10歳、7歳になった子どもたちの世話や家事、仕事をやりながら、また大学に行こうと思ったのには、深いわけがあります。
私が長女を産んだ1991年はまだ育児休業法も施行されておらず(翌1992年4月より施行)、妊娠したら仕事を辞める女性が圧倒的多数でした。諸事情もあって好きだった仕事を辞めた私は、子どもが生まれて落ち着いたら、絶対再就職すると心に決めていました。ところが夫の転勤、育児に振り回され、気がついたときは36歳の専業主婦でした。その後再就職をしましたが、採用や雇用において女性差別、子どもがいる人へのハラスメントを受け、じょじょにフェミニズムに目覚めていきます。
同じ時代に生きていながら、なぜ子どもをもっても働き続けようとする女性と、子どもをもつと仕事をあきらめてしまう女性、出産を機に嬉々として専業主婦となる女性がいるのか、どういう要因が彼女たちの生き方を分けるのか。そういうことにとても興味をもち始めました。
フリーライター 森田 千恵
早稲田大学第一文学部英文学科を卒業後、
国内、外資系の金融機関に勤務。
出産のため退職後、BBBやあんふぁんて等の育児ネットワークに参加。
「潟Oループわいふ」でニューマザリングシステムに関わった後に、フリーライターに転向する。現在はHP「サバイバル★ママ」で女性の再就職に関する情報や話題を提供。著書に
「賢い女の夫選び・夫育て」(株)近代文芸社より発行)がある。今年4月より社会学を勉強するために社会人として大学院在学中。
主な研究テーマは、夫婦の家事・育児分担と
子育て支援、子どもをもつ女性の就業継続について。
自分自身が専業主婦→パート・派遣社員→フリーランサーと移行したことによって、周囲にいるのもほとんどワーキングマザーたちになりました。そして出産前から働き続けている人たちに話を聞いてみると意外に新卒で就職した頃は、子どもをもってもこんなふうに働き続けるとは予想していなかったという人が多いのです。もちろん中には、一生働くことを考えて職を選んだり、夫となる人を決めたという人もいましたが、おおむね若い頃には今の自分を予測していなかった人が多いようです。
この事実を裏返せば、社会的条件を整備しておけば、女性がもっと働き続けることが可能になるのでは、そう考えました。もちろん女性自身の職業意識、自立心も大切だと思います。女性であっても、経済的、精神的に自立して生きていくのが当然ということを、家庭や学校で教えていくことも重要です。
将来は、女性がもっと長期的視点で自分の生き方、職業生活を考えていけるよう、研究をして提言していきたいと考えています。
しかし、この年(=今年42歳)から大学院に行くのは大きな冒険です。私も最初からいきなりこの道を目指したのではありません。まずは1999年に家族社会学の本で興味あるものをたくさん読みました。その中で最も興味をもった本の著者に手紙を書き、直接お会いしてお話をうかがいました。そして2000年4月からその先生の教える東京学芸大学の学部で、科目等履修生として社会学を学び始めたのです。
この「科目等履修生」という制度はなかなかおススメです。長いブランクがあって、でも大学で学んでみたいという人は、これを利用してみるといいと思います。入学料約27,700円、科目登録料は一科目あたり26,600円で、私の場合1年間通ってかかった学費は107,500円。入学検定料は9,800円でした。けっして安い授業料ではないですが、手が届く金額と言えるでしょう。大学にもよると思いますが、だいたい2月と8月に募集があり、書類選考で入学を許可されるというシステムです。入学時期は4月と10月となります。ライターとして仕事をしながら、家事・育児をこなしながらですので、本当に忙しい毎日でした。でも久しぶりの大学の授業は、何もかもが面白くエキサイティングで、その年の6月には来年度は大学院を受けてみようと思いたち、平日の夜、有志の勉強会にも参加し始めました。
勉強会は、平日の夜6時ごろから8時半まで、学部の4年生で大学院の受験を目指している人たちが自主的に集まって開かれていました。しかし我が家は核家族で、夫は深夜にしか帰宅しない企業戦士です。勉強会の間の子どもの保育をどうするかという問題がもち上がりました。 (つづく)